色のない世界を考えたことがあるだろうか
黒、白、グレー・・・色彩分野では無彩色と呼ばれるもの
正確にいえば、あざやかではない、ということで、「ない」と言いきることはできない
私はこの空間が好きだ
カラーがあるのは美しい、けれどモノクロには独特の色調を感じる
かぎりない静寂はしばし時間(とき)を止める
そうしてやがておだやかな時を刻みはじめる
外界には色があふれている、氾濫している、そのなかで呼吸(いき)ができなくなる私がいる
・・・とけこめないのはいけないことなのだろうか
無彩色はあらゆるものを包みこむ色・・・
何ものにも染まらず、さりとて表立って主張せずともたしかな存在を放つ
「色」は、みるものに委ねられるのだ
如何ようにも変えられる
その「抜き」のしなやかさに私は惹かれている