心地好い感触

“風合い”、という言葉にどんなことを思う?

わたし、何気なく感じてましたがこれ、表現しろといわれると。。。。

この前、新聞のコラムである装幀家のかたがこの“風合い”をめぐっての編集さんとのやりとりを書かれてまして。
本を創り上げる過程で必ず行われる打ち合わせではあるでしょうから、きちんとやることを考えると細かい確認も必要。そうしたことだったのでしょうけど。
・・・ただ、この“風合い”・・・辞書的に(?)くっきり割り切れる観念というか概念というか、それらがうまく伝えにくいところでして。たしかに辞書引けばそれらしいことは(新聞の文面引用しようかと思ったけど、思考が固定されぬようやめた・・・たぶん、辞書によって微妙に言い回しちがうんじゃないかな。気になるかたは調べてみてください)書いてあると考えられますが、解釈ってとどのつまり、それぞれの感覚としか言いようがないのでは??
あくまでも「こういう感じ」くらいにしか言語的にはあらわせない。要は環境や経験によってとらえどころが異なっているものだと。

想像してみよう。
“色合い”についても同じことがあてはまらないか?

色彩は染色の世界やファッション・インテリアがらみで規格はある。
でも、ふだんはそんなに細かい部分にまで考えが及ばない。
たとえば赤系が好き、青系が落ち着く、イエローやグリーンが似合う・・・そうした大雑把なところで選ぶだろう。しかしながら、厳密にはピンクは赤につながるし、紫は青にからむ、オレンジはイエローに通じる。細密にみていくと実に雑多な色があることになる。

大別すると、自然色(天然色)か人工色かといった感じかな・・・?

色が人の精神や感情に与える作用もさまざまなものがある。
これもやはり、個人の性質や育った環境、体験や価値観で大きな変化をもたらすだろう。

わたしの本が制作されているときも、紙のことについて話がされていた。
効率の面その他の利点を考えると、軽量化だったりインクがなじむかどうかだったりは気になるところだろう。余計なことはしなくていい、と思うのも理解できない訳じゃない。
だけど・・・活字について、装幀について、その道の職人が存在するのである。
それをできるかぎり生かすことが本にとって幸せなんじゃないだろうか。。。

なんて、コラムをみながら思ったんだね。
何てゆーか・・・ひそかに感涙にむせんだ。

原稿を書く(描く)ひと、活字におこすひと、装幀するひと、・・・もっといえば、紙をつくるひとやインクを製造するひとたちも含めると・・・たくさんのひとの手を介しているから本ってすごく重みがあって、あったかいんだね

一冊一冊が財産であり、宝石

~鉱石好きの楪 蒼朋