深い闇でも

・・・魑魅魍魎の類ではなく、最も恐れるべきは人間である、
そう聞いたことがある けれど・・・

光は生き物にとって不可欠
でも其処にすべてが込められている訳じゃない

闇で生きるものも存在する
それをしらずにいるだけ

太陽が昇り、光り輝き
沈んだのちに月がほのかに
暗闇を照らすように
眠りにつく時もまた、おとずれるもの

人も自然の一部なのだから
眠らずにはいられない
それによって
生命を維持しなくてはならない

光のなかで過ごす環境がながければ
やがてそのありがたさを忘れてしまう
故に闇に入り込んだときの恐怖は
想像を絶する

動けなくなる、声が出せなくなる、
聞けなくなる、触れることさえ

取り巻くすべてをおぞましく感じる

ただ、その状態がずっと続くのではない
意識を解放しゆだねてしまえれば
何かが少しずつ動き出す
闇そのものが危険なのではない
肝心なのは、人に生じる隙間

光にさらされ続けることも、
疲労につながる
生きていくうえで
“眠り”のときが必須の季節も
あっていい

人の心身はひとつの宇宙
誰にも、容易につかめるものではない

深海のように感じることもある
時としてそれはとてつもなく恐怖を呼ぶ
感触であることも多い
けれど、力を抜き、そこにたゆたう
すると、水はやわらかな布のように
包んでくれる

光と闇は、何処にでも
誰のなかにも存在している
それが場合によって
占める割合が変化するだけ

決して闇そのものは罪ではない
問題はそれを律する人間にある
ただしどうしても一人では制することのできない
事象は必ず起きる
だからこそ人は、誰かを必要としながら生きている

それほど強くはないけど、弱くもない
だけど、息をするだけで、歩くだけで大変な
日々を懸命に生きる人を
どうか踏みにじらないでほしい