阿檀の木の下で

もしも、大切なひとの命がおびやかされたら
そして、自らも危機におちいったなら
そのときいったい何ができるのだろう



降りしきる雨は天のなみだ




かつてこの国の内(なか)でも
戦さはあった
力の誇示や領土の争い
それはやがて国の外へも広がり
おびただしい数の犠牲を強いた


世界の諍いも争いも絶えることはない
利や益よりも命が軽いのですか?
人間はゲーム盤の上のコマじゃない


何処かで命が消えてゆく
災害でも事故でもなく
命が奪われ、命を奪い
人間であることを忘れていくように

此処はまるで戦場(いくさば)だ




大切なひとが理不尽に命を奪われるかなしみを知っていますか?
遺される人々がどんな思いで生きていくことになるか考えたことはありますか?

死の誘惑、死の恐怖・・・
それを感じるのは弱いからではないとおもう
むしろ生きる重さを実感しているからこその反応

不都合なことを口当たりのいい言葉に置き換えて
ごまかしを続ける、・・・いつまで?
多数の言い分だけを聞き、少数の声には耳を傾けず
存在すら抹殺するかのよう




・・・知らぬ間に、すべてが決められていた
人にあったはずの理性も感情も無惨にうちすてられて
国益という大義名分のもとに何もかもが進められた
武器の行き交うものではなくても、人は・・・
戦場へ行くために生を受けるのではない、どんなに、どんなに争いが絶えない場処でも
親ならばなおさらわが子を死なせるために生み、育てるのではない

私は戦争を直にはしらない世代である、けれど
両親(ふたおや)に、祖父母にそのかげりは見える
かなしみは、いたみは、私にははかりしれない
ただ・・・
自分なりの生きるさまに思いをはせるとき、この歌(詩)がよぎる



実際にそうしたことを歌ってらっしゃるかはわかりませんが・・・
中島みゆきさんの『パラダイス・カフェ』の10曲目に入っています。
何故かこの曲を聴くと、知るはずのない気配をおぼえてしまうのです・・・・・・






木に姿をかえた人間
そこからみえるものは、何?