私には物語が必要だった
誰とも会わない 話さない
誰にも理解されない
世界から取り残され 息を潜めて いた
*
*
冷静になって考えれば、相手と自分は別の個、だから物事のとらえ方、
価値観なんかが違っていて理解できないことも、当然あり。
経験が薄いのならそれなりの対応を。
(いろいろ調べてみるとか人に助けてもらうといったこと、など)
心や体、頭がまわっているうちはよかった、
だけど。
私自身、はっきりした物言いができる性分ではなく臆病だったため、
痛みや疲れが堆積し、それらを癒す手段を持ち合わせていませんでした。
ただ、自覚はないもののバランスはとろうとしていたと。
まんがやドラマのストーリーに自身を置きかえて、自分だったらどうするだろう、
その世界で生きる自身の物語を想像してみたりキャラクターをつくったり。
・・・人はどうしようもなく外的刺激に押し潰されそうになると、その状況を
越えようとして世界への扉を閉じ、自身だけの居場所を創造する・・・
なにものをも踏み込ませない領域
受け入れがたいとする向きがあるとしても、むしろそれがあるからこそ、
何かを、誰かをもとめる、生きたいと願う氣持ちに発展するんじゃないかって。
誰でも生きている限りは物語を必要としており、物語に助けられながら、どうにか現実との折り合いをつけている
Φ ゆずりはの本 Φ
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ことばにならない想いは何処へいくんだろうと途方に暮れていたあの頃の自分。
いまだに作文も作曲も苦手なまま、それでも、小節をていねいに結んでいくことで
物語を紡いで、いのちを繋げてきた氣がします。
くるしみの森でことのはを摑み
かなしみの海でことのはを掬い
視えないものを全身全霊で
あなたは今、どんな道(物語)を、歩いていますか?
人間が悲しいと思ったときに心の中がどうなっているのかということは、ほんとうは言葉では表現できないものです。けれども、それを物語という器を使って言葉で表現しようとして挑戦し続けているのが小説なのです。
〈太字部分は『物語の役割』からの引用〉
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「考えたって分かることじゃないのかもしれない。でも、僕は武蔵みたいに強くないし、何の取り柄もない。将来のことだって何も考えられないでただ〝宇宙飛行士になりたい〟なんて夢みたいなこと言ってる。・・・不安なんだ、すごく。どう生きてったらいいのかわからなくなって・・・」
貴志の声がふるえている。
「将来に不安抱(いだ)かん奴なんかおらん」
背中合わせに布団に腰をおろして話し始める。
「・・・オレかて強うなんかない。ただ、弱みを知られとうないだけや。けど、お前といると落ち着く。弱み知られてもええ思うてる。・・・お前はお前のままでいいんや」
自分の言葉でどれだけ貴志の不安をやわらげられるのか分からない。武蔵は泣きそうな顔で、そう答えるしかなかった。
背中越しに伝わってくる武蔵の体温。
不安を消し去ってしまうことはできないかもしれない。でもそのぬくもりが、優しさが貴志にはうれしかった。
『僕のたからもの』 花火 より(一部抜粋)