しずかな結晶

例年、三月・四月は春ごよみといえど寒さがのこります。冬がすきな私ですが、いろんな想いが交錯しながらのこの時季は格別の感慨もあります。

子どものころには地域的に雪がめずらしかったですが、最近はわりと降りますね。・・・とはいえ、いまごろだとちらほら、くらいかなと思っていたら大粒の雪が。さすがにびっくりしました。あの独特のひんやりとした感触はそのせいだったんだな・・・

雪が積もる、という現象もよく考えると不思議です。てのひらにこぼれた雪はあっというまに消えてしまうから・・・・・・でも、服の上だとまれに結晶がきれいにみえますね。

・・・そんなときにふとおもう、“ことば”も結晶なんだって。あたりまえすぎてないがしろにしてると大変なことになる・・・

話ができなくなった、口がきけなくなったときからなおさら「書く」ことのこわさや重さを感じるようになりました。だから、“ことば”を大切にしているな、と感じるひとに出会うとうれしくなります。たくさんは語れないけど、心のよりどころになっている本のお話をすこし。

『光り降る音』・『天つ風の音』・『星月夜の音』・・・雅楽をベースにした三部作の絵本です。

絵を描かれているのが東儀秀樹さんなのですが、かんのゆうこさんの文もとてもすてきなのです。心におもっていて、うまくかたちにできないことをかんのさんが語ってくれているようで。・・・時折どうしようもないくらいに心が乱れてしまうことがあるのですが、こうした文を書かれるかたがいらっしゃると思うだけで次第にしずめられていく気がします。

“ことば”は大切な、たいせつなたからもの