** いまは どんなにつらくても 逢えてよかったと伝えたい **
輪廻転生の考えに照らせば 私は何度か生まれ変わっているかもしれない
生まれ変わりの回数は人によって違うと聞く
そうして 生まれ変わる場処やものも
しらない世界 だからほんとうかどうかはわからない
でもたぶん 『魂』というものはあって
どんなふうに生きるのか なにを学ぶのか
青写真のようなものをつくってきているのだろう
なぜこの世界に 場処に 時代に
考えてみれば 不思議だ
ここでなければ ありえなかったこと 出逢い
あと十年はやかったら おそかったら
そこにいなかったら
平凡な毎日 というのはどんなもの?
同じようにみえても日々は違う
毎分毎秒動き続け変わっていく
人嫌いのような自分でも
とてつもなく何かに感謝したくなる出逢いがある
たとえば美しいもの 楽しいもの
素直になれる友達 気の合う仲間
魅力的な先輩 それから
ことばにならないくらいの 力強い味方 心の軸
みえない世界にアクセスすることで ぼんやり浮かび上がってきたことがある
それがすべてとは思わない けれど すとんと理解できそうな
生きていれば 出逢いと別れはつきものだけど
私の場合はすごく多いのだとか
たしかに プラスかマイナスかは別にして せわしないといえばそうだった
そのことが何かの恐れも生んでいたと考えられなくはない
誰もが悩み 迷い 苦しみ もがく
自信と呼べるものがあるのかもよくはわからないから 揺れる
ただ 何かにまもられているという実感 応援するものの存在
それがあるからこの道を歩いていいのだと
切れそうで切れない糸がつないできたもの
幾度も放り出して 封印して 鍵をかけようとした
それほどの痛みを伴いながらなおも幸いを感じてきた
誰が何と言おうと どう思おうと 自分にとって大切なもの
逢えてよかったよと 笑顔で伝えられるように
**
『君はそれ以上~出逢い』 文芸社 刊 (発売中)
言葉にしなければ伝わらない けれど みえないものを見ようとする働きも必要
心はどこにあるのか 自分にさえわからないこともある
考えられないようなことも起こる そのとき人はどう動くのか
理性でははかれない感情 それは人間だからこその想い
不可解なものを抱えつつ 呼吸をたしかめるように書いていった物語
この器(からだ)は借物 魂(こころ)を留めるための~楪 蒼朋