『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
音楽を通しての父と娘の関係修復がテーマになっていましたが、
話しが重かったら観られないかもと懸念しつつ、振り返るとあっという間、だったと。
久々にクラシックっていいなあ、なんておもってました。
本編の娘・響さんとは環境や置かれた立場も異なるので語れるものでもないけれど、
好きだったはずの音楽が嫌いになってしまうのは、とてもつらくてくるしいことだけは
共通してるのかもと。・・・私自身、音楽に罪がある訳じゃないと頭でわかっていても
避ける、遠ざけるしかなかった時季がありました。そうしなければ逆に自分が壊れて
しまう、ように。
父である俊平さんはあくまでもよりよくなるならと(響さんに)アドバイスをしただけ
で彼女の演奏を否定したのではなかった、ただ、彼女にはそれがいっぱいいっぱい、
だったから拒絶されたみたいに受けとめてしまい、そこからすごく・・・しんどかった
のだろうな。私も場違いだと感じながら音楽の時空に身を置いていた頃を思い出して
いました。周囲の優秀な人達のなかに「なんで私が?」
俊平さんが「響をひとりにした」といってた場面があり、そういうことだったのかと
あとで。同じ世界にいたと思っていたひとが遠ざかり、響さんには真っ暗な世界しか
視えなくなっていた、あの頃の私と、どこか似ていたのかなって。
どちらがわるいとかじゃなく、少しだけ意思の疎通がうまくいかなかった父と娘の
5年間がゆるやかに雪解けに向かうさまは観ていてなんだかこちらも嬉しくなり、
近くの親戚な氣分に、というかもう晴見フィルの一部と化している錯覚が。
音楽以外がからっきし、なそれでいて人間的魅力にあふれた俊平さんのおかげでみんな
巻き込まれ変化し素敵になっていく。じんわりとあったかいんですね、俊平さんと
いると・・・息子・海くんもちょっとそうした空氣、もってますよ、あと大輝くんも
いい。悩んだりするものの性格のよさは変わらない。
西田敏行さんの(大輝くんの)おじいちゃんもただもんじゃないですわ、さらっと
流された俊平さんとの因縁!?もしかしたら出会いはそっからはじまっていた!!
玉山鉄二さん印象が全然ちがってて別の俳優さんだと思ってた、いやはやびっくり、
むちゃくちゃいい味出てました、ほんとうにマエストロ(俊平さん)のこと、志帆さん
のこと、大切におもってるのが伝わってくる。
音楽からは結局、離れられなかったです、かたちは変わっても、心と体に染みこんだ
リズムとかテンポとか抜けないですしおかげで、文を紡いだりことばを繋いだりも
可能になっている側面も。救われて、いたんですね、たぶん・・・根っこから注がれた
音楽という流水に・・・今回の作品でひとつのふるさとに帰れた氣がしました。
音や色を奏でる人々。。。。