いつもどこかに在るように ~みつめるまなざし~
いつの頃からかその人は私のなかに
遠くにあって 知っていることもささいなものではあったけれど
お元氣にされてるんだ と 安堵しながら時折
考えてみれば
とてつもない事業に取り組み
厳しい環境下で
なにが起きてもおかしくない
それは理解していたはずなのに
突如その瞬間はおとづれた
銃撃され 落命
何故
どうして
あの 穏やかな微笑みが消えてしまう
近くない とか 非日常ゆえに とかじゃなく
あれからずっと
哲先生の不在 という現実が像を成さないまま
「あ、忘れてた」
武士はそう言って。
「はい」
ぱさ、と翔の目の前に突きつけられた一本の赤いチューリップ。
「……オレ、そーゆー趣味ねぇぞ?」
「何誤解してんだよ、お礼だよお礼!」
「礼?」
「オレのこと助けてくれただろ、……だから」
照れくさいのか、互いに目を合わせようとしない。
「何言ってんだ、お前がオレを助けたんじゃねぇか」
「……オレが?」
武士の『存在』が自分をここまで導いてくれたのだから。
『君はそれ以上~出逢い』 波動
🏹8月30日まで〈よろしければごらんください〉