「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」

そのものの言葉、だったか趣旨が同じものだったか。
前にどこかで目にしたな、と。

ちょっとどきっとしました。
役に立つ、と思っていること、実はけっこう浅い見解なのかも?


読んだのは、新聞の池上彰さんのお話。

大学のありかたについてのこと、だったんですが、
なんと国の提言として、地方の国立大に教員養成系学部や
人文社会科学系の学部はいらない、もっと社会から求められる
学部に、といった話があるのだと。


「社会から求められる」・・・・・・

それを、誰が決めるんでしょう?
数が多い少ない、何パーセントくらいで、組織や企業の立場、
なのかな??

この考え、受験に関係ない教科は勉強しなくていい、という
感覚と似てる気がします。
いわゆる社会人の「即戦力」につなげたい、との意味合い
なんでしょか??



資格とったから、試験うかったからっていきなり
仕事できないって分かりますよね。
実際やってみないと何がなんだか分からないのが普通。
しかも一人じゃできない、「誰か」とかかわることについての
マニュアルなんてないし、そういったことは「求められる」
ところの学問のなかには入ってないんです。

一見すると無駄、意味のない(と思われる)ことのなかに
それらのヒントが隠れている。

応用とか展開とかの力、本当に大事なことは時間を、空間を
短縮したからといって会得できるものではないと、理解されて
あるかたもいらっしゃると思うのですが・・・



手間暇をかける、といいますね。
物事を深めようと思えば、せっかちになったりめんどくさがったり
しないほうがいいのかもしれません。

役に立つ、でいえばなんとなく形になってしまうとできた「つもり」
になっちゃって、そこから先に進まないし、感情もさほど動かない。
結果、経験を大切にしないというか、すぐに忘れる、手放す、
すぐにまた同じような「もの」が手にはいると思ってしまう。


私はたいそう不器用なので、物事を体得するのにものすごく
時間がかかります。しかしながら、それによって身につくものは
かなり密度が濃くなるだろうと。

そのときは「なんで?」と感じたり、記憶に残らないような出来事
であったりしても、あるとき突然、「そうだったのか!」がひらめく
ことってありませんか?


大学のことだけではなしに、いろんなことに通じてると観じます。

生きることそのものや人間関係、
そうして、場合によっては仕事も・・・



人生の大半は
大地に水が浸透していくような
宇宙に自分自身が融けこんでゆくような

そうやって形成されるものなのかもしれないね



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・・・人が、「人間」になっていくためには
人文社会科学系の学問が必須なんじゃないだろうか・・・


人間は 型や枠にはめこまれる
機械的に動かされる「ロボット」とは違うのだから



※「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」
という言葉は、慶応義塾の塾長だった小泉信三氏の
発言なのだそうです